全教北九州市教職員組合(全教北九州)
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昨年末の臨時国会において、都道府県・政令市の条例によつて、公立学校に「1年単位の変形労働時間 制」を導入するための「給特法一部改正法」が可決されました。

労働基準法に定められた「1年単位の変形労働時間制」は、業務の繁閑のある職場において、1年間で平均すれば週40時間以内となることを条件に、繫忙期における所定の勤務時間を1日10時間まで延長することを認める制度であり、時間外勤務が恒常的に生じている職場には導入できないとされています。

厚生労働省調査(2018年)によれば、全校種の教職員の1日の勤務時間の平均は11時間17分です。このように恒常的に時間外勤務が生じている学校職場にこの制度を導入することは、時間外勤務の実態を覆い隠し、緊急・最重要の課題である長時間過密労働の解消に逆行するものです。それどころか、所定の勤務時間が延びることによって「8時間労働」の原則が壊されてしまうことは、教職員のいのちと健康にかかわる重大な問題です。ゆとりをもって子どもと向き合い、時間をかけて授業の準備を行うことがいっそう困難となり、ゆきとどいた教育をすすめることが難しくされてしまいます。

政府は国会審議の中で、この制度の導入によって「教師の業務や勤務が縮減するものではない」ことを認め、制度導入の目的は「夏休み等における体日のまとめ取り」だとしました。しかし、夏休みといえども学校は「閑散期」とは言えず、また、制度を導入しなくても「休日のまとめ取り」は可能です。

さらに労基法は、この制度導入が労働条件の重大な変更であることから、書面による労使協定の締結と労働基準監督署への届け出を必須としています。そのような制度を、労働基本権を制約された公立学校の教員に対し、条例によって導入できるとしたことは、労働法の大原則を壊す重大な問題です。

今、学校には、「教材研究ができなく、子どもたちに申し訳ない」「明日の授業準備さえままならない」など、教職員の悲痛な声があふれています。長時間過密労働を解消するためには、少人数学級の実現や教職員定数の抜本的改善によって人を増やし、1人あたりの業務量を縮減することが不可欠です。

教職員のいのちと健康を守り、ゆきとどいた教育をすすめる立場から、下記のことを請願します。

  1. 公立学校に「1年単位の変形労働時間制」を導入するための条例制定をおこなわないこと
「公立学校に「1年単位の変形労働時間制」を導入するための条例制定に反対する請願(署名)」用紙