目次
はじめに
2016年にみなさまにご協力いただいたアンケート結果の報告です。2年前に行ったアンケート結果と比較し、ハラスメントに対して職場がどのように改善されているか、また、職員全体の意識はどのようなものかなどを考え、ハラスメントのない、気持ちよく働ける職場環境を目指していきたいと思います。
回答者のデータ
性別
学校別
年代別
雇用形態別
セクハラについて
被害経験
加害者について
被害を受けた際の相談相手
セクハラの内容
セクハラの例
新採の先生が、出産のことで「時期がよくない」などといわれていた。
女性職員の容姿を話題にし、からかわれた。
生理休暇を取ろうとすると「女はいいなあ」と言われた。
小さい子供がいると。「よく休むので困る」などよく聞く。子どものことで休みにくい職場は結構ある。男親がわが子の授業参観などで休むと、女親の方がいけないのかなど言われたりした。
2015年調査との比較
セクハラを受けた人の割合は変わりませんでした。ただ、受けたり聞いたりした人のないように少し変化が見られました。
2015年調査では、露骨に性に関するセクハラが目立ちましたが、今回は出産・生理休暇や子育て支援休暇など権利として当然受け取ってよいものに対して、ハラスメントが行われている実態が見えてきました。
これは、
- 教育現場の教員不足(代替がいない、配当されるべき少人数講師が来ないなど)
- 教師の持ち時間数の多さ
- 全国学力テストから波及した学力・体力向上推進などと関連した業務(書類やそのための取り組みなど)
- 学校評価や個人評価などにも通じる保護者や児童生徒への対応
- 複雑化する児童生徒指導
など明らかに教職員一人当たりに対して、教育現場の仕事量が多いことや仕事の質が多岐にわたっていることで多忙化している現場が要因になっていると思います。
パワハラについて
被害経験
加害者について
被害を受けた際の相談相手
パワハラの内容
パワハラの例
校長室から何時間も出してもらえず、校長に人格否定するような言葉や罵声を浴びせられた。
校長が自分の気に入らない意見などにかっとなり、怒鳴ることがある。全体の責任者として、もっと冷静に人の意見に耳を傾けてほしい。
相手によって態度を変え、ぞんざいな言い方をする。
校長が当たり前のように職員を呼び捨てにする。他の人との会話の中で度々呼び捨てにしていることに嫌悪感がある。
気に入った女性には「○○ちゃん」と呼んだり、子どもの前で若い教師をちゃん付けで呼んだりする。
2015年調査との比較
パワハラを受けた人の割合は3%ほど下がっていました。しかし、校長によるパワハラの内容が、尋常とは思えないようなものもありました。また、主幹教諭や指導教官、同僚によるパワハラの割合がかなり増えています。(13パーセントから19パーセント、13パーセントから35パーセント)
これも、学力向上推進など、若年教師や講師に直接かかわる教職員が、負担を強いられているのではないかと思われます。いずれにしろ、教職員は多忙を極め、精神的にもぎりぎりのところで、児童生徒のためと頑張っていることは確かです。
よせられた意見
どこまでがセクハラか、パワハラかわかりませんが人間関係ができていると、許せる範囲(冗談として受け止められる)もある。でも、こういうことを鵜呑みにせず、相談できるところがあるのは良いことだと思う。良い人間関係の中で仕事をやっていきたいと思う。
人権が尊重される職場になるように研修会や勉強会を開いてほしい。自分も勉強して意識を高くしていかなければいけないと思う。
どこの学校でも「若年研修」の名のもとに、若い先生方に負担を強いている。研修に使った時間の分、若い先生方は夜遅くまで働いている。「先輩の授業に学ぶ」で全教科プラス「モデル授業」の授業参観もあり、ゆっくり自分の学級で子どもたちと向き合う時間が、削られすぎだと思う。
「日本一忙しい日本の教員」とよく言われるが、状況は過酷さを増すばかり。「授業」以外の雑務が多すぎる。そして、それはますます煩雑になっている。自分が過ごした30年余りの間に、何十倍も大変になったと感じる。保護者の対応も難しくなってきている。若い先生方は大変だと思うが、頑張ってほしい。
おわりに
より良い人間関係の中でこそ、いい仕事ができるものです。
良い人間関係とは、一人一人の人権が尊重され、助け合いながら意見交換をし、一個人であるとともに一教職員であることが、両立できることではないでしょうか。
仕事の内容や仕事の量を吟味して行くこと、そして、教員数を増やすことが、権利も安心して取れないようなきゅうきゅうとした教育現場を作り出さないことにつながると思います。
教員数が確保され、また、増員されること。それによって教員一人当たりの仕事内容と量が適切になるように、教育委員会に要求していきたいと思います。